日々、訪れる新しいマンガとの出会い。その感動と魅力を、広告や番組を通して伝えていく/株式会社パピレス?卒業生 安孫子麻由

インタビュー 2022.03.01|

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憧れだった分野への転職で人生がより豊かに

――はじめに、お仕事内容について教えてください

安孫子:主にマンガ?電子書籍のレンタルサイト「Renta!」の広告全般に関わっています。その中でも特に、広告のクリエイティブと呼ばれるバナーの制作や、広告代理店の方々とやりとりしながらの広告運用、また自社で運用している検索系の広告もあるので、そういったところも最近は任せてもらっています。

MCは声優の森嶋秀太さんが担当されていて、隔週で声優さんがゲストで来てくださるんですが、毎週、取り上げた作品の一番の見せ場の部分を、MCの森嶋さんとゲストの方に掛け合いで朗読してもらう内容になっています。私の役目は、先輩社員さんと一緒に取り上げる作品を決めて、構成作家さんに作ってもらった台本を読みながら、みんなが不快になる内容はないかとか、他に盛り込んでほしいものがないかなどを確認すること。また、本番の時も実際にスタジオに行ってマンガのセリフが間違っていないかなど逐一チェックして、さらに映像ができあがった後もかなり念入りに確認を行うようにしています。

――ちなみに、安孫子さんはどんなマンガをよく読まれますか?

安孫子:20歳を越えたあたりからよく読むようになったのは、「ベルセルク」や「ヴィンランド?サガ」といった戦記物の長編青年マンガですかね。マンガはずっと好きでしたし、またこの会社に入ったことで、今まで読んだことがなかったようなジャンルのものも知ることができて、今は非常にやりがいを感じています。

株式会社パピレス 安孫子麻由さん お話をする安孫子さん
お話を伺った安孫子麻由さん。

――パピレスさんに入社する前は、大手総合スーパーに勤務されていたとお聞きしました

安孫子:芸工祭で友達と一緒に古着屋さんをした時、「私、物を売るのが好きかも」って思ったんですよね。それで総合スーパーに就職したんですけど、実際に働いているうちに、もっと余暇時間に使えるような、そして私自身が興味の持てるものを売ることができたらより人生が楽しくなるんじゃないかなって考えるようになって、それで転職することを決めました。

その後、書店?出版系に絞って就職先を探していた時にこの会社を見つけて、「『Renta!』ってロバートの秋山さんがCMしてるところだ!」って思って、無理だろうなと思いつつ面接にチャレンジしてみることにしました。その際、「Renta!」の改善案をまとめた企画書も一緒に持って行こうと決めて。企画構想学科にいた時によく企画書を作っていたので。正直、面接は緊張しちゃってあまり覚えていないんですけど(笑)、後日、人事の方に「そういう企画書を持ってきてくれた人は初めてだったので、すごく感激しました」と言ってもらえて、改めて企画構想学科に入って良かったって思いました。そういった意味でも、ゼミの担当教員だったボブ田中先生には本当に感謝しています。

株式会社パピレス 安孫子麻由さん PCに向かう安孫子さん

――このお仕事にはどんな力が求められますか?

安孫子:パピレスには「楽しもう」という考え方が社訓的にあるんですね。例えば、「今楽しめていないのであれば、その状況を変えてみよう」といった感じでよく使われる表現なんですけど、そんなふうにもし自分が行き詰まってしまった時は、それを他人のせいにするのではなく、自主的に解決していく力というのが大切になってくるんじゃないかなと思います。

まさにそういう力を必要とされたのが、大学の時に手がけた音楽文化イベント「オトナルヤマガタ(山形市七日町?文翔館を舞台に行われた企画構想学科主催の音楽祭)」でした。あんなに大きいイベントを準備の段階から学生だけで作り上げるというのは、今考えても本当にすごいことだったなって。私は協賛金を集める担当だったので、メンバーと一緒に企業に出向いてプレゼンをしたりしていました。企画構想学科にいた人ならみんな思い入れがあるんじゃないかな。

自分を大きく変えてくれた、企画構想学科での4年間

――そもそも企画構想学科を選んだきっかけは?

安孫子:絵を描くのは昔から好きで、中学の頃からよく父親に芸工祭に連れていってもらって、油絵を観たりしていました。なので芸工大に入学したいというのはずっと漠然とあって。そして高校生になって大学を決めるタイミングで、芸工大のオープンキャンパスに行ったんです。その時、企画構想学科の先輩方の雰囲気がすごく良くて、そして何より学びの内容が商品開発などとても実践的で、そのまま社会に生かせそう!と思えたことが一番の決め手になりました。

それからもう一つ理由があって、実は高校生の時、コミュ障で人と話をするのがものすごく苦手だったんです…。それを直したいっていうのもあって、逆に一番コミュ力が問われそうな企画構想学科に入ろうと考えました。一歩間違えたら地獄だったかもしれない(笑)。

株式会社パピレス 安孫子麻由さん 笑顔でお話する安孫子さん。

――そういった状況の中、実際に学んでみていかがでしたか?

安孫子:企画構想に入ってくる子って、話すのが好きだったり人を動かすのが得意だったりする子が多いので、そんな周囲の環境にすごく恵まれました。ゼミでは、山形県鶴岡市にある太田産商という精肉会社さんのロゴマークの制作と、外部に発信する企業メッセージを策定する流れを、実際にグラフィックデザイン学科の皆さんと一緒に手がけさせていただきました。社員さんの言葉を聞くため、現地に赴いてアンケートを取り、そこからアイデアを発想させていったんですけど、ちゃんと実現するところまで一貫してやらせてもらえたというのは本当に勉強になりました。疑似的なものではなく、実際に社会に生かされていることを実感できたところがすごく良かったです。

それからコミュ障を変える大きな転機になったのが、入学する時に思い切って「スマートドライバー(本学CCO?小山薫堂氏が発起人の安全運転プロジェクト)」という、学科のチュートリアルに入ったことでした。当時はメンバーが男性3人だけだったんですけど、そこに1人で乗り込んでいって(笑)。そして同じクラスの子たちをどんどん引き込んでいきました。その時にだいぶコミュニケーション能力が養われたんじゃないかなと思います。

――また、卒業制作が企画構想学科の最優秀賞を受賞されたそうですね

安孫子:今話した「スマートドライバー」での活動を卒制でも生かしたい、という思いから立ち上げたのが「ハン杯プロジェクト」というものなんですけど、ハン杯の「ハン」は、ハンドルキーパーの「ハン」なんですね。ハンドルキーパーというのは、飲み会の時などにお酒を飲まずに運転する人のことで、それを推進することで飲酒運転をなくせないかなと考えました。そこで、普段から活動でお世話になっていた警察の方や安全運転管理者協議会の方々にも協力していただきながら、ハンドルキーパーさんとのコミュニケーションツールとしてお菓子にシールを貼ってお礼として渡すことを企画したり、ハンドルキーパーさんしか使えないクーポンが付いている冊子を作って実際に配ったりしました。そんなふうにハンドルキーパーを主役にすることで、自分から「ハンドルキーパーになりたい!」と思えるような山形にしたかったんですよね。企画構想学科の授業では、よく「課題解決力を磨いていこう」という話が出ていたので、まさにそういった授業を通して得ることができた視点だったと思います。

株式会社パピレス 安孫子麻由さん 「ハン杯プロジェクト」の卒業展示の様子
「ハン杯プロジェクト」の卒業展示の様子。活動は様々なメディアにも取り上げられた。

――その視点は現在の仕事にも生かされていますか?

安孫子:そうですね。例えばバナー広告を作る時は、それを見た著者さんが悲しくならないかな?とか、広告を見てユーザーさんが不快にならないかな?とか、あらゆる立場で考えるよう心がけています。ただユーザーさんから、これは盲点だったなと思うようなアンケート結果や意見が寄せられることもあるので、それをできるだけ事前に察知して、著者さんやユーザーさんに喜んでもらえるような広告や番組を作っていきたいですね。

――それでは最後に、受験生に向けてメッセージをお願いします

安孫子:私は芸工大に入ってから、コミュ障だった高校生の時の自分では考えつかないくらいいろんなことに挑戦できたと思っています。なので、皆さんもやりたいことがあるならミーハーに、じゃないですけどたくさん手をつけていってほしいです。あと、友達からの誘いは断らずにどんどん乗っていくとより楽しい万博体育投注_万博体育彩票-下载app登录が送れるんじゃないかなと。私が学生の時は車を持っていたので、よく新潟までドライブしたりしてました。そうやってどこかに出かけたり友達と遊んだりすることもすごく大事だと思います。 それから大学生になったら、1限目はどんなにつらくてもちゃんと起きた方がいいですよ、と伝えたいです。その1限目の授業も学費に含まれているわけですから、ぜひ有意義に使ってほしいと思います(笑)。

株式会社パピレス 安孫子麻由さん 安孫子さんと会社の廊下にて

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人と接するのが苦手だった高校生の頃の自分をしっかりと受け止め、その上で選んだ企画構想学科での学び。そこで得た経験や仲間たちとの万博体育投注_万博体育彩票-下载app登录を通して、安孫子さんは思いやりあふれる素晴らしいコミュニケーション能力を身に付けることができました。そして社会人となった今はその能力を生かしながら、誰もが幸せになれる広告や番組を生み出そうと日々仕事に励んでいます。

(撮影:永峰拓也、取材:渡辺志織、入試広報課?土屋)

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東北芸術工科大学 広報担当
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